山田太一さんの言葉
雑誌の特集で、川本三郎さんが山田さんの記事を書いている。
私は、「岸辺のアルバム」「早春スケッチブック」という山田さん脚本のドラマが大好きだった。
向田さんや山田さんレベルのドラマ脚本家は現在少ないのではないかと思う。
山田さんのドラマでは殺人も暴力も性的表現もほとんど出てこない。
普通の市民生活の日常を描く。
その日常に潜む人の業というか、悲しい性(さが)というか、見てはならない、言ってはならない深淵を役者のセリフにさらりと乗せてしまうのだ。
何度ドキリとさせられたことか。
雑誌に掲載されていた、山田さんが引用した
チェーホフの言葉
「人生において恐ろしいことは、
すべて舞台裏のどこかで展開されているのです。
一切は静かで、平穏です」
「幸福な人間が安心した気持ちでいられるのは、ただ不幸な人が黙って
その、重荷を担ってくれているからであり、この沈黙なしには、
幸福はありえないからにすぎないのです」
今日でゴールデンウイークも終わる。
どこにも遠出せず、普段と変わらない日常だったけど、
この「日常」を守ってくれている人たちがこの世界のあちこちにいる。
病気の家族を見守っている方、年老いた両親を看ている方、
施設で連続勤務の方、約束の時間までに懸命に階段を駆け上がる宅配や引っ越し業者の方。
山火事の鎮火に奔走する方、
みなさん、本当にありがとうございます。
みなさんの「沈黙」下での行いのお陰で、私たちは日常が保てているのです。
また明日から仕事がんばります。
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